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大麻について勉強をすると必ず目に止まるのが”テルペン”という言葉です。
テルペンとは、大麻をはじめとする植物に含まれる天然の香り成分です。レモンのような柑橘系、松のような爽やかな香り、ベリーのような甘い香りなど、フラワーごとの個性を生み出しています。大麻にはTHCやCBDだけでなく数十種類以上のテルペンが含まれており、その種類や含有量によって香りや特徴が異なります。
テルペンとは大麻をはじめとする植物に含まれる天然の香り成分のことをいい、レモンやオレンジのような爽やかな香り、熟した果実のような甘さ、森林を思わせる青々しい香り、ブラックペッパーのようなスパイシーさなど、大麻は品種によって香りが大きく異なります。
世界的に大麻の研究が進むなかで、自分が文献を読んだり、大麻農家や薬局で実際にフラワーを見たりして感じるのは、大麻の個性はTHCやCBDの数値だけでは説明しにくいということです。
その香りを構成する重要な成分の一つが「テルペン(Terpene)」です。テルペンは大麻だけに存在するものではなく、柑橘類、ハーブ、花、樹木など自然界のさまざまな植物に存在します。
一方で、現在では「大麻の香りはテルペンだけで決まるわけではない」ことも分かってきています。研究では、エステルや硫黄化合物など、少量しか含まれない非テルペン系の揮発性成分が、甘い香りやスカンク系など特徴的な香りに関係することも報告されています。
この記事では、自分が実際に大麻を見てきた経験も交えながら、テルペンとは何なのか、代表的な種類と香り、THC・CBDとの違い、アントラージュ効果、フラワーを選ぶときの見方まで順番に紹介します。
テルペンとは、植物などが作り出す天然化合物のグループです。大麻では複数のテルペンが確認されており、品種ごとの香りや風味を構成する重要な要素になっています。
自分が大麻農場や薬局でフラワーを確認するときも、THCの数値を見る前に香りを確認すると、その品種の個性をかなり分かりやすく感じることがあります。
例えば、シトラス系、フルーティー系、フローラル系、ウッディ系、スパイシー系など、同じ大麻でも香りの方向性は大きく異なります。ただし、テルペンについて特に注意したいのが、「香りが違う=医療効果もそのまま違う」と単純には判断できないことです。
テルペンにはさまざまな生物学的作用が研究されていますが、大麻に含まれる濃度や人が実際に摂取した場合の作用については、まだ十分に分かっていない部分があります。
自分としては、まずテルペンを「この症状に効く成分」と考えるより、大麻の香りや化学的な個性を理解するための重要な要素として見る方が現時点では自然だと考えています。
| 分類 | 代表例 | 香りのイメージ | 特徴 |
|---|---|---|---|
| モノテルペン | リモネン、ピネン、リナロール、テルピノレンなど | 柑橘、松、ハーブ、フローラルなど | 比較的揮発しやすく、フレッシュな香りに関係するものが多い |
| セスキテルペン | β-カリオフィレン、フムレン、ネロリドールなど | ウッディ、スパイシー、土、甘さなど | モノテルペンより分子量が大きく、保存時の変化にも違いがみられる |
大麻のテルペンを調べていると、「モノテルペン」「セスキテルペン」という言葉がよく登場します。これは主に分子構造による分類です。例えば、リモネンはレモンやオレンジなどの柑橘類にも存在し、α-ピネンは松などの植物でも確認されています。
β-カリオフィレンはブラックペッパーやクローブなどにも存在するテルペンで、特に興味深いのがCB2受容体へ作用することが実験研究で確認されている点です。
ただし、こうした個々の研究結果から「β-カリオフィレンが多い大麻なら特定の症状に効く」と判断できるわけではありません。
(引用:米国科学アカデミー紀要掲載研究)
| 項目 | テルペン | カンナビノイド |
|---|---|---|
| 代表例 | リモネン、ミルセン、ピネン、リナロールなど | THC、CBD、CBG、CBNなど |
| 大麻での特徴 | 香りや風味を構成する重要な成分 | 大麻の主要な薬理作用に関係する成分 |
| 他の植物 | 多くの植物に存在する | 植物性カンナビノイドは主に大麻で知られている |
| 研究状況 | 前臨床研究が多く、人での研究はまだ限定的 | THC・CBDを中心に人での研究も進んでいる |
テルペンと混同されやすいのが、THCやCBDなどのカンナビノイドです。どちらも大麻に含まれていますが、同じものではありません。
Health Canadaでは、大麻には100種類を超えるカンナビノイドが存在し、その中でもTHCとCBDが代表的な成分として説明されています。THCは精神作用を引き起こす主要な成分として知られています。一方、テルペンは香りを構成するだけでなく、独自の生物学的作用や、カンナビノイドとの相互作用について研究されています。
自分としては、THCやCBDが大麻の作用を考えるうえで中心となる成分で、テルペンはその大麻が持つ化学的な個性を理解するためのもう一つの情報として見ると分かりやすいと思っています。
(引用:Health Canada)
大麻について調べていると、よく登場するのが「アントラージュ効果」です。
これは、大麻に含まれる複数のカンナビノイドやテルペンなどが一緒に存在することで、単一成分とは異なる作用が生じる可能性を考える概念です。ただし、ここは現在でも研究が続いている部分です。
テルペンがTHCやCBDの作用を必ず強めたり、弱めたりすることが確立しているわけではありません。
実際、α-ピネン、β-ピネン、β-カリオフィレン、リナロール、リモネン、ミルセンなどを調べた細胞実験では、THCなどの作用をCB1・CB2受容体上で直接変化させる結果が確認されなかった研究もあります。
一方、2024年に発表された健康な成人を対象とする研究では、D-リモネンをTHCと一緒に吸入した際、THCによって生じる不安感の一部が用量依存的に弱くなったことが報告されています。
自分としては、「面白い可能性が研究されているが、品種選びを決める完成した公式ではない」くらいの理解が一番現実的だと思っています。
(引用:Macquarie University研究チーム)
(引用:Johns Hopkins University研究チーム)
| テルペン | 香りの特徴 | 含まれる植物の例 | 研究で注目されている点 |
|---|---|---|---|
| リモネン Limonene |
レモン、オレンジなどの柑橘系 | レモン、オレンジなど | THCとの相互作用についてヒト研究も始まっている |
| ミルセン Myrcene |
ハーバル、土、やや甘い香り | ホップ、タイム、マンゴーなど | 前臨床研究を中心にさまざまな生物活性が研究されている |
| α-ピネン α-Pinene |
松や森林を思わせるシャープな香り | 松、ローズマリーなど | 神経系を含む複数の作用について研究が続いている |
| リナロール Linalool |
ラベンダーを思わせるフローラルな香り | ラベンダー、コリアンダーなど | 神経系への作用などが前臨床研究で調べられている |
| β-カリオフィレン β-Caryophyllene |
ブラックペッパー、クローブのようなスパイシーさ | ブラックペッパー、クローブなど | CB2受容体の選択的アゴニストとして研究されている |
| フムレン Humulene |
ウッディ、ホップ、ややビター | ホップ、コリアンダーなど | 前臨床レベルで複数の生物活性が研究されている |
| テルピノレン Terpinolene |
柑橘、ハーブ、針葉樹が混ざったような香り | りんご、クミン、ティーツリーなど | 香気成分としての特徴や生物活性が研究されている |
| ネロリドール Nerolidol |
ウッディで甘く、ややフローラル | ジャスミン、ティーツリーなど | 皮膚透過性などを含む作用が研究されている |
テルペンにはさまざまな生物学的作用が研究されています。
ただ、自分が今回の記事を改めて調べ直して感じたのは、大麻に含まれるテルペンについては「研究されている作用」と「大麻を吸った人に実際に起こる作用」を分けて考える必要があるということです。
動物実験や細胞実験で結果が確認されていても、大麻フラワーに含まれる量で同じ作用が人に起こるとは限りません。そこで、代表的なテルペンについては「医療効果」という表現ではなく、香りと現在研究されている特徴を中心に整理します。
テルペンの記事で、現在特に知っておきたいのがこの部分です。以前は、大麻の香りについて「リモネンが柑橘」「ミルセンが土っぽい」というように、テルペンプロファイルだけで説明されることが多くありました。
しかし近年の化学分析では、テルペンの含有量だけでは、大麻から実際に感じる香りを説明できない場合があることが報告されています。
2023年に発表された研究では、さまざまな大麻の香りを化学分析と官能評価で比較した結果、甘い香りやフルーティーな香り、スカンク系の特徴的な香りには、エステルや揮発性硫黄化合物などの微量成分が強く関係していることが示されました。
つまり現在では、テルペンは大麻の香りを理解する重要な要素ではあるものの、それだけが香りのすべてではないと考える方が自然です。
(引用:Abstrax Tech研究チーム)
| 保存で変化する要素 | 考えられる変化 |
|---|---|
| 時間 | 一部の揮発性テルペンが徐々に減少する場合がある |
| 温度 | 保存温度によって化学成分の安定性が変わる |
| 酸素・容器の開閉 | 揮発した成分が容器外へ失われやすくなる場合がある |
| 乾燥・保存方法 | 最終的な香りのプロファイルそのものが変化する可能性がある |
テルペンの中には揮発しやすいものがあり、乾燥や保存、容器の開閉、温度などによってプロファイルが変化することがあります。実際に大麻フラワーの保存条件を調べた研究でも、保存期間中にリモネン、α-ピネン、β-ピネン、テルピノレンなど複数の揮発性成分が減少することが確認されています。
また、研究によってはモノテルペンとセスキテルペンで保存中の変化の仕方に違いがみられています。
これは単純に「テルペンが全部なくなった」ということではなく、複数の揮発性成分のバランスが変化した結果、香り全体の印象が変わっている可能性があります。
(引用:Agricultural Research Organization研究チーム)
以前は、自分も「リモネンなら気分」「ミルセンなら睡眠」というように、テルペンごとの特徴から大麻を分類すると分かりやすいと考えていました。
ただ、現在の研究を改めて確認すると、テルペンだけを見て症状に合わせた大麻を設計できると考えるのは、まだ早いと思っています。
特に注意したいのが、「Indica=リラックス」「Sativa=活動的」という分類です。
米国6州で販売されている大麻のカンナビノイド・テルペン組成を調べた研究では、商業的に使用されているIndica、Hybrid、Sativaというラベルと、実際の化学的な多様性が一貫して対応していないことが示されています。
自分も現在は、IndicaやSativaという名前だけで体感を決めつけるより、実際のカンナビノイド量、テルペンプロファイル、香り、自分の過去の経験を一緒に見る方が現実的だと考えています。
(引用:University of Colorado Boulder研究チーム)
| 確認する項目 | 自分が見るポイント |
|---|---|
| THC・CBD | まず大麻の基本的な強さやカンナビノイド構成を確認する |
| テルペン | どの香り成分が比較的多いのかを確認する |
| 実際の香り | 分析値だけでなく、自分の鼻で感じる香りを確認する |
| 過去の体験 | 同じ品種や似たプロファイルで自分がどう感じたかを参考にする |
| 体調・環境 | その日の状態や使用する場所も含めて考える |
自分が現在テルペンを見るときは、特定の効果を予測するためというより、そのフラワーがどのような化学的・香りの特徴を持っているのかを知るための情報として使っています。
特に大切だと感じるのは、テルペン名だけで体感を決めないことです。
同じ品種名でも、栽培環境によってカンナビノイドやテルペンのプロファイルに違いが生じることが研究で確認されています。
つまり、「以前この品種が良かったから、同じ名前なら必ず同じ」とも限りません。
| 確認したいこと | 考え方 |
|---|---|
| THC濃度 | 初めての場合は特に高THC製品を避け、強さを確認する |
| 使用量 | 少量から始め、追加を急がない |
| 環境 | 安心して過ごせる場所を選ぶ |
| 体調 | 疲労や強い不安など、普段と違う状態では無理をしない |
| テルペン | 効果を保証する指標ではなく、香りや品種の特徴を理解する参考として見る |
テルペンを理解すると品種を見る楽しみは増えますが、初めて大麻を使用する場合には、テルペンより先にTHCの量と自分の体調を確認することが重要だと考えています。
Health Canadaでは、大麻を使用する場合のリスクを下げる考え方として「Start low, go slow」、つまり少量から始め、作用を確認してから次を考える方法を案内しています。
吸入の場合も、最初から多く使用するのではなく、少量で自分の反応を確認することが重要です。
(引用:Health Canada)

大麻について知れば知るほど、自分は「THCが何%あるか」だけでフラワーを見るのはもったいないと感じるようになりました。
同じようなTHC濃度でも、レモンのような爽やかさを感じる品種もあれば、果実のような甘さ、森林のようなウッディさ、ブラックペッパーのようなスパイシーさを感じる品種もあります。その違いを理解する手がかりの一つがテルペンです。
一方、現在の研究を見ると、「リモネンだから気分が上がる」「ミルセンだから眠くなる」といった単純な分類だけでは、大麻の体感を説明しきれないことも分かってきています。
大麻にはテルペンだけでなく、THCやCBDなどのカンナビノイド、その他の揮発性化合物も含まれています。さらに、栽培環境や保存状態、使用量、その日の体調や環境なども実際の感じ方に関係する可能性があります。
アントラージュ効果についても研究は進んでいますが、すべてのテルペンとカンナビノイドの組み合わせについて、その作用が明確になっているわけではありません。
そのため自分としては、テルペンを「自分に合う大麻を決める答え」ではなく、「そのフラワーが持つ香りや個性を理解するための情報」として見るのが一番自然だと考えています。
フラワーを手に取ったら、まず自分の鼻で香りを確認する。そのあとテルペンプロファイルやTHC・CBDなどの情報を見て、実際に自分がどう感じたのかを覚えておく。
そうした経験を少しずつ重ねていくことで、自分が好きな香りや大麻品種の傾向も見つけやすくなります。
THCの強さだけではなく、香りや化学的な個性まで含めて大麻を見る。テルペンを理解することは、大麻という植物をさらに深く知るための一つの入り口になると自分は感じています。
FAQ
よくある質問
テルペンは、大麻をはじめとするさまざまな植物に存在する天然化合物です。
大麻ではリモネン、ミルセン、ピネン、リナロール、β-カリオフィレンなどが知られており、フラワーごとの香りや風味を構成する重要な要素になっています。
テルペンとカンナビノイドの相互作用について研究は進んでいますが、
特定のテルペンが含まれていれば必ず特定の体感になると判断できる段階ではありません。
自分の場合は、テルペンを効果を予測するための答えではなく、香りや品種の特徴を理解するための情報として参考にしています。
大麻のテルペン構成は品種や栽培環境によって異なるため、
すべての大麻に共通する一つのテルペンを「最も多い」と決めることはできません。
市販大麻の分析では、ミルセン、リモネン、β-カリオフィレン、ピネン、テルピノレンなどが主要成分として確認されることがあります。
THCやCBDはカンナビノイドと呼ばれる成分で、THCは大麻の精神作用に大きく関係します。
テルペンは多くの植物にも存在し、大麻では主に香りや風味を構成する重要な成分です。
両者の相互作用についても研究されていますが、同じものではありません。
アントラージュ効果は現在も研究が続いている考え方です。
テルペンによるカンナビノイド受容体上の相乗作用を確認できなかった研究がある一方、
2024年のヒト研究ではD-リモネンとTHCを組み合わせた際にTHCによる不安反応の一部が弱くなったことが報告されています。
そのため、可能性はありますが、すべてのテルペンに共通する確立した法則とは言えません。
テルペンは大麻の香りを構成する重要な成分ですが、それだけではありません。
近年の研究では、エステルや揮発性硫黄化合物などの微量成分が、フルーティー、甘い、スカンク系など特徴的な香りに大きく関係する場合があることも報告されています。
保存期間や温度、酸素、容器の状態などによって、一部の揮発性テルペンが減少したり、香りの構成が変化したりすることがあります。
そのため、長期間保存したフラワーでは、新鮮な状態とは香りの印象が変わる場合があります。
テルペンプロファイルは参考になりますが、それだけで自分に合う大麻を判断することは難しいと考えています。
THC・CBDの量、使用量、香り、過去の体験、その日の体調や環境なども含めて考える方が現実的です。
SOURCES
情報・出典
本文中で、テルペンだけでは説明できない大麻の香りと、エステルや揮発性硫黄化合物などの微量成分について確認するための研究資料として参照しています。
Johns Hopkins University|D-リモネンとTHCに関するヒト研究
本文中で、D-リモネンとTHCを組み合わせた際の急性不安反応について確認するためのヒト研究として参照しています。
Macquarie University|テルペンとカンナビノイド受容体に関する研究
本文中で、一般的な大麻テルペンとTHCなどのCB1・CB2受容体上での相互作用について確認するための研究として参照しています。
University of Colorado Boulder|市販大麻の化学的多様性に関する研究
本文中で、Indica・Hybrid・Sativaなどの商業ラベルと、実際のカンナビノイド・テルペン組成の関係について確認するために参照しています。
Columbia University|栽培環境と大麻成分に関する研究
本文中で、遺伝的に同じ大麻でも栽培環境によってカンナビノイドやテルペンプロファイルに違いが生じる可能性について確認するために参照しています。
本文中で、保存期間中のリモネン、ピネン、テルピノレンなどの揮発性成分の変化について確認するための研究資料として参照しています。
本文中で、β-カリオフィレンがCB2受容体の選択的アゴニストとして確認された基礎研究を参照しています。
本文中で、THCを含む大麻を使用する際に少量から始め、追加を急がないというリスク低減の考え方を確認するための公的情報として参照しています。
※この記事は2025/10/18に公開した情報になります。
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