バンコクで開催された大麻のヘンプ製品に特化したHempExpo2025に参加してきた
タイでは大麻が解禁されて3年目になりますが、僕が1番初めにタイの大麻関係のイベントに参加したのが「HempExpo」で、思い出に残るイベントだったりします。HempExpoはアジア地域におけるヘンプ産業の発展を目的とした、栽培から加工・製品化までのサプライチェーンを一堂に集めた国際展示会・ビジネスフォーラムです。農家・メーカー・研究者・ブランドなどが出展し、ヘンプの新しい可能性を共有する場として毎年バンコクで開催されています。
日本では信じられないかもしれないけど、タイでは大麻エクスポがオフィシャルな場所で開催されていて、そこでは乾燥大麻が普通に売買されてるし、大麻の苗を見ることができる。しかも、今回はヘンプ関連の面白い商品も見ることは出来た。同じ時間軸に生きてるとは思えないけど、こっちが最新版です pic.twitter.com/J7OxtcOdco
— Kei | タイに住む大麻盆栽家 (@smallnycer) November 5, 2025
3年連続で遊びに行ってきたので、この記事では2025年のHempExpoがどんな感じだったかレビューをまとめます。
バンコクで開催された2025HempExpoに参加してきた

HempExpoはQueen Sirikit National Convention Centre (QSNCC)で開催されていて、Queen Sirikit National Convention Centre(QSNCC)はバンコク中心部にあるタイ最大級の国際展示・会議施設です。1991年に開業し、2022年に全面リニューアル。約7万8千㎡の広大なスペースを持ち、展示会や国際フォーラム、コンサートなど多目的に利用されています。

前日まではオンライン登録で無料チケットを入手できますが、当日券は500Bが必要になります。受付ではQRコードを提示するだけで入場でき、特に身分証の確認などはありません。当日券も会場で購入できますが、列に並んだり登録に時間がかかるため、事前にオンラインで登録しておくのがおすすめです。

入り口の横には専門家による講演プログラム「Forum Programs」や3日間にわたる「Hemp Talk Schedule」、そして出展企業一覧と会場マップが掲載されている地図があり、講演テーマは医療用カンナビスの研究やヘンプ素材の産業利用、クラトムの法整備や輸出戦略など多岐にわたり、国内外の専門家や政府関係者が登壇しました。出展企業は100社を超え、栽培技術から製品開発、加工、パッケージまで、ヘンプ産業の全工程を網羅しています。



出展ブースにはヘンプ素材を使った製品をはじめ、栽培に必要な土や肥料を扱う企業、そして光が届きにくい植物の下部にも照射して収穫量を高めるためのライトブランドなどが並んでいます。栽培に関わるあらゆる資材や機器が一度に揃うでしょう。

ヘンプ(大麻)関連以外にも健康・ウェルネス産業やOEM製造企業などが多数出展しており、健康食品やコスメ、ペット用製品などの分野も取り扱われています。「CARESUTIC CO., LTD」は、タイのスキンケアやペット用サプリメントを製造する企業です。ブースでは美容液タイプの液状アンプル(AMPOULE)や犬・猫向けの健康補助ブランド「Pet’s Friend」シリーズを展示していました。

例えば水を使わずに汚れを落とせる泡タイプのシャンプー「PAW CLEAN WATERLESS FOAM」や、目や顔まわり専用の低刺激クリーナー、被毛を清潔に保つスプレーなど、日常的に使えるケア用品が売られていました。また、「Multivitamin Liver Flavor(For Cat / For Dog)」などのマルチビタミンサプリや、腸内環境を整える「Gut Health for Pet」、体重増加をサポートする「Weight Booster for Pet」など、機能性サプリメントも充実していました。さらに、コラーゲンやオメガ成分を配合した粉末タイプの「Collagen Topping Powder」も展示されており、健康志向の飼い主に向けたラインナップが特徴的でした。

他にも「TiHTA(Thai Industrial Hemp Trade Association/タイ産業用ヘンプ貿易協会)」では実際のヘンプ(産業用大麻)植物が展示され、周囲にはヘンプ由来の建材ブロックが円形に積まれていました。ヘンプ繊維と石灰を混ぜて作る「ヘンプクリート(Hempcrete)」の実物展示で、環境負荷が低く断熱性・調湿性に優れた次世代建築素材として注目されています。

「Ka-Home Collection」は、自然素材と伝統的な製法にこだわったヘンプテキスタイルブランドで、天然染料(インディゴや植物染め)によって染色された手織り生地を使用しており、タイ北部の職人によるハンドメイド作品がとても印象的でした。
ヘンプ素材が高価な理由は、まず栽培から糸づくりまでの工程が非常に手間がかかることにあります。ヘンプ繊維は硬く、柔らかくするために手作業での煮沸・叩き・紡ぎなど多くの工程が必要です。また、化学処理を使わずに自然由来の方法で加工・染色するため、大量生産が難しく、職人の技術に依存します。さらに、環境負荷の少ない素材として世界的に需要が高まっていることも価格を押し上げる要因の一つです。


個人的にはタイの企業「KIJSETTHI MOBILITY (THAILAND) CO., LTD」が出展していヘンプ素材を使った自動車内装「Hemp Car Interior(ヘンプカーインテリア)」の実物モデルが展示されていました。ブース中央にはトラックのキャビンが再現されており、座席や内装パネルには天然のヘンプ繊維が使用されています。ヘンプ素材は軽量で強度があり、吸音性や断熱性にも優れ、さらに有害な化学物質(VOC)を含まない環境にやさしい特徴を持っています。また、使用後は自然分解が可能なため、従来のプラスチック素材に代わるサステナブルな選択肢として注目されています。


タイの企業「Velthra Bio」のブースでは、タイ産クラトムを中心に、天然由来の成分を科学的に精製し、健康・ウェルネス分野へ応用するバイオ企業としての取り組みが紹介されていました。
クラトム(Kratom)は、タイ南部や東南アジア原産の植物で、古くから疲労回復や集中力の向上、痛みの緩和などに使われてきた伝統的ハーブです。葉に含まれる「ミトラギニン(Mitragynine)」という成分が、リラックス効果や覚醒作用をもたらすことから、現在では健康飲料やサプリメントとしても注目されています。
クラトムの粉末と乾燥葉が大きなパックで展示されており、来場者はその色・香り・粒子の細かさなどから品質を直接確かめることができます。担当者によると、これらの原料は収穫後に自然乾燥させ、不純物を取り除いた上で、医薬・サプリ・飲料用に適した粒度へ粉砕・精製されるとのこと。用途に応じて濃縮エキスや水溶性パウダーとして加工されるため、製品開発者は自社ブランドに合わせた配合設計が可能です。

少なかったですが大麻農家さんも出店していて、タイ・チョンブリー県にある「Siam Happy Farm Co., Ltd.」のブースでGACP(Good Agricultural and Collection Practice/適正農業・採取規範)認証を取得している農家です。ブースには実際に同ファームで育てられた乾燥大麻のサンプルが瓶詰めで展示され、品種ごとの香り・色・トリミング状態を確認できるようになっています。

Siam Happy Farmは、2019年に設立されたタイの100%オーガニック大麻農家で、ライセンス取得済みの苗を使用し、GACPおよびGAP基準に準拠した方法で生産を行っています。ファームもチョンブリーにあって、バンコクからもアクセスできる距離なのでタイミングがあったら行ってみたいと思います。


あと大麻盆栽ギャラリーと同じ建物内にオープンするディスペンサリーで使うディスプレイ用の乾燥大麻を入れるケースも良さげなの売ってた。クリアケースに入れるとUVで大麻の劣化が早くなっちゃうのが気になってたけど、写真のケースみたいに2層になっていて、外側がUVカットのケースで内側が穴が3つ開いた透明のケースで外側のボタンを押すと匂いが3つの穴から出る仕組みでした。

個人的にこれも面白いと思った。これはケースの蓋部分にスマホを近づけるとリンク先のボタンがスマホに表示されて、クリックすると詳細に飛べる仕組みになってました。大麻を薬として考えるなら効能や含まれてるテルペンなど色々わかった方がホスピタリティー高いから時間があったら取り入れたい面白いアイディア。


自分と同じハンドクラフトのアーティストも何ブースか出店してたけど、たまにディスペンサリーで見かけるリアルな乾燥大麻のゴールドトップを発見でテンション上がった。実際に近くで見ると想像以上にリアルな乾燥大麻でビックリした。アーティストを探したけどちょうど店にはいなかったから話せなかったのが残念。友達が一目惚れして買ってたけど、これで5000Bくらいだった気がする。

あと日本の伝統的な麻文化とクラフト技術を紹介している展示もありました。ブースには、手織りの麻布や和装ガウン、麻糸、装飾品などが並び、日本古来の麻繊維の美しさと職人の技術を感じられる構成になっています。展示されている布は、手紡ぎの麻糸を使って織られたもので、自然な光沢と通気性の良さが特徴。インディゴ染めや植物染料による柔らかな色合いが印象的で、「麻=神聖・清浄」の象徴としての日本文化的背景も伝わります。

毎年開催させていて3回目の参加だったけど、法律の問題や大麻事業者が減ったこともあって年々面白味が減ってるのが残念。そんなことは言っても毎回行くたびに面白いプロダクトは出会えるのはHempExpoの良い部分だと思う。来年も開催されると思うから来年の今頃にバンコクに行く機会がある大麻愛好家はHempExpoに行くのもプランに入れておいてください。
Queen Sirikit National Convention Centre (QSNCC)
バンコク / アソーク
- 60 Ratchadaphisek Rd, Khlong Toei, Bangkok 10110
- 営業時間:10時00分~18時00分
Kei
大麻盆栽家
タイに移住後にCookiesやGreenHouseやRoyke Queens Seedsなどの有名ディスペンサリーやHighLindやPhuket Cannabis Cupなどの大麻盆栽を展示を経験後に2025年に大麻盆栽ギャラリーをバンコクにオープン予定。大麻盆栽以外にもハンドメイドの喫煙器具なども作っています。詳細はコチラ
※この記事は2025/11/06に公開した情報になります。
※当サイトに掲載された情報については、その内容の正確性等に対して、一切保障するものではありません。
※当サイトに掲載された情報については、投稿者の個人的な私感が含まれている場合があります。
※ご利用等、閲覧者自身のご判断で行なうようお願い致します。
※当ウェブサイトに掲載された情報に基づいて被ったいかなる損害についても、情報提供者は一切責任を負いかねます。
